「女から告白されたら引くわ!」と彼女は笑った。

職場の同性同僚をほんきで好きになってしまった、子持ちママです。 罪悪感と、しあわせと。

朝の出勤時。

爽やかな風がふく、変な梅雨どき。





自転車で、せんぱいとすれ違った。

目を合わせずに気づかないフリ、して。

向こうは私を見つけたけど

私、遅刻しそうだから焦ってペダルをこぐフリ。




うん。

何となく、決めた。

こんなコソコソするのは良くない。

ちゃんと、せんぱいの気持ち

確かめよう。

前に聞きそびれた質問

「これから、せんぱいは、私を好きになってくれる可能性は

あるんでしょうか?」

もう一度、ちゃんと話したい。

前へ進む時なんだ。




夕方になり、他愛のない子供の話題を

せんぱいにメールする。

30分後くらいに返信が、きた。

せんぱいを意識し始めた頃は

メールの返信、次の日に返ってくれば

速いほうだった。

1年前に比べたら、私たち

本当に仲良くなれたね。

そして

心臓が壊れそうになりながら

やっとの思いであなたとの接触をはかっていた

私も、もういない。




「今から電話できない?顔かせやー!

聞きたいことある。」

勢いと緊張で

ケンカ売るよな文面になり、猛省したけど

せんぱいからの返事

「今は忙しいから後からするね。」

と返ってきて。




今日。

ちゃんと。

誤魔化さずに。

腹をくくるんだ。





夕食後。

着信があった。




確固たる証拠。

とにかく、確かなものが、欲しかったの。





彼女を知るために

LINEで沢山質問したけど

いちばん知りたい「気持ち」の部分に

触れることができないのだった。

やっきになればなる程に

霧のもやに包まれて

有耶無耶になって。





わかってる。

ぜんぶ、私の自己満足。

身勝手な子供のワガママに

付き合わせちゃってるだけ。





「私のもの」にならないのなら

いっそのこと

嫌いになってよ。

愛想尽かして、ブロックかけちゃいなよ。

そっちから

姿、消してよ。





自分で何も決められなくて

心、かき乱されて





それでも、逢いたかった。




それから私たち、何度か逢った。




お互いの家が遠いから、中間地点を地図で探して待ち合わせて。

でも、会って何をする訳でもなく

チェーン店のコーヒーショップでお茶したり

公園を散策したり

知らない町の大学のキャンパスに忍びこんだり。





彼女はお花屋さんで働いた経験があるから

花の名前に詳しかった。

公園でベンチに腰かけ、顔を空にむけると

新緑がきらきら光を透かし揺れて

「見てると育った家の庭を思いだす」

なんて、言ってたっけ。





本当に、何をするでもなく時は流れて

あっという間に私の帰る時間。




正直言うとね。

私、ずっと探していたんだ。

2人きりになれる場所を。

キスをしても

えっちな事を仕掛けても

大丈夫な、ところを。





とにかく、破裂しそうで

限界だったんだ。

それでも、彼女の気持ちが確かめられないのに

「そういう所」に連れこむのは違う…し

(そして、そんな勇気は到底ない)

お別れの時は刻々と迫って

ああ、私から

素直にならなきゃ

なんにも、はじまら、ない。




ふと。




ねぇ

せんぱい、は?

あんなに好きだったのに?

そんな状態で迫っても

相手にとっては不誠実なだけじゃない?





もう1人の冷めた自分が、頭の隅で言うから

なんとか辛うじて、持ち堪えてたんだ。




そう。先週までは、ね。


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